VOL.7 笠井 崇正 (信濃グランセローズ)投手#20 - BCリーグ  

VOL.7 笠井 崇正 (信濃グランセローズ)投手#20

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9月11日、信濃最後のホームゲームとなった中野市営野球場。
9回表からマウンドに立った笠井が投じたストレートは、いきなり151キロを計測した。


ネット裏に座った複数のNPBスカウトがざわつく。
「どこにこんな投手がいたんだ?」


スカウト陣のマークから漏れたのも無理はない。
笠井は現役の大学生にもかかわらず、野球部に所属していない「学生独立リーガー」なのだ。
野球の表舞台から長く遠ざかっていた怪物が、ベールを脱いだ瞬間だった。


|雌伏の3年間


高校は公立の旭川西。大型右腕として地元では注目を集めたが、甲子園とは無縁だった。
一般入試で合格した早稲田大学でも野球部には所属せず、同好会で3年間を過ごす。


並行して、スポーツ科学部で自らの投球フォームを研究した。


そこで、転機が訪れた。それまで「腕の振り」だけを意識していたが、下半身を使い体の回転を速くすることにより、より速い球を投げられる事に気づいたのだ。


大学3年になった2015年の夏、笠井は自らの理論を実証してみせる。
地元で行われた後輩たちとの練習試合で、141キロのストレートを投げ、周囲を驚かせた。


「トレーニングをしていないのにこれだけ投げられる。しっかり鍛錬すれば、NPBに届く」


野球サークルを楽しんでいた男は、初めてNPB挑戦を決意する。


自力のメニューで体を作り、11月に行われたルートインBCリーグのトライアウトでは146キロを計測。
信濃から2位で指名を受け、独立リーグに飛び込んだ。


|体幹を鍛える
今年2月、雪の長野県中野市で自主トレがスタートした。
上を目指すために、笠井が取り組んだのは下半身と体幹の強化だった。
開幕を迎え、チームのセットアッパーを任されてからも、過酷なトレーニングが続く。
夏場、体が悲鳴を上げた。厳しいトレーニングに加え、酷暑の中での連戦。
長いシーズンは、笠井にとっても初めての経験だった。


が、シーズン終盤になって、成果がようやく形になる。それが中野での150キロ超えだった。
決め球はストレートとスライダー。他にカーブとチェンジアップも投げ分ける。


|究極のセルフスターター


NPBでスカウト経験もある信濃の三沢今朝治会長は、笠井の強みを三つ挙げる。


「一つは、身体能力。たった半年のトレーニングで150キロを超える投手は滅多にいない。
二つめは、これだけの球を投げながら、まだ成長途上にあること。
三つめは、自分で考えたことを実際に行動に移し、結果を出せること。だから笠井はこれからも伸びますよ」


NPBへの道を、自ら考え、決断し、鍛え、独立リーグに挑戦した究極のセルフスターター。
10月20日、ワセダの野球サークルからNPBへの登板は実現するか。

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■プロフィール
笠井 崇正(かさい たかまさ) 投手 右投・右打 1994年8月7日生 22歳(10月20日NPBドラフト会議日年齢)
身長179cm 体重92kg 北海道出身
【野球歴】 旭川西高校‐信濃グランセローズ(2016〜)


■ルートインBCリーグ成績

チーム 背番号 防御率 試合 S 投球回数 打者 球数 被安打 被本打 奪三振 与四球 与死球 失点 自責
2016 信濃 20 2.43 35 3 1 1 37 148 574 31 2 36 5 4 16 10


■リーグ戦績
http://www.bc-l.jp/playerstats/2016-allpitcher(BCリーグ投手戦績ページ)


■球団サイト
http://www.bc-l.jp/player/2016shinano_p_20(リーグプロフィール)

 

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